こんにちは。リサイクルショップバイキングのスタッフです。富山・石川で、骨董品や美術品の買取、遺品整理のお手伝いを続けてきました。
査定にお伺いすると、ほぼ毎回いただく質問があります。「箱、いりますか?」。押し入れの奥から品物だけを出してきてくださって、箱のほうは物置に置いたまま。そういう場面が、本当に多いんです。
先に結論
箱や鑑定書、書付といった付属品は、作品の来歴や作者を確かめる手がかりになります。汚れていても、破れていても、そのままお持ちください。
付属品のどこを見ているか
まずは箱から。桐でできた箱は、湿気や虫から品物を守ってきました。ただ、査定の場で私たちが目を向けるのは、素材よりも蓋や側面に書かれた文字のほうです。箱書きと呼びます。
そこには、作者名、作品名、年代、どんな経緯で手元に来たかが残っていることがあります。文字が読めない。崩し字で分からない。そう思われても大丈夫です。判読はこちらの仕事ですから、そのままで構いません。
なかでも手がかりが多いのが、作者自身が書いた「共箱(ともばこ)」です。作品と箱の書付が一致していれば、本人の手によるものと見る材料が一つ増えます。作者以外の方が後から書いた箱もあります。鑑定家やご遺族が真作と認めて書いたものを「極箱(きわめばこ)」、茶道の家元や茶人が銘を記したものを「書付箱(かきつけばこ)」と呼び分けます。どちらも、書いた人によっては手がかりになります。
箱のほかに、紙の付属品も出てくる
箱のほかに、鑑定書や、由来を書いた紙が残っていることがあります。作品名、作者、どこに収蔵されていたか。短い文字数のわりに、情報が濃いものです。
呼び名はジャンルによって変わります。掛け軸や古書画では、鑑定した人の見立てを記した「極札(きわめふだ)」が付くこともあります。
旧家やコレクターの所蔵品だったことが、この一枚から分かることもあります。ぱっと見はただの紙切れです。でも、捨ててしまうと戻りません。名前が分からないままで構いませんので、それらしい紙や木札が出てきたら一緒にお持ちください。
掛け軸や書画では、包む袋も見る
掛け軸や日本画、書画には、作品を包む布の袋が付いていることがあります。黄袋(きぶくろ)と呼びます。骨董品なら何にでも付く、というものではありません。
傷や汚れから守る役目のほかに、格式を示す意味もあります。そして、私たちにとっては保管の丁寧さが見えるものでもあります。袋がきちんと残っている品物は、長いあいだ大事に扱われてきたことが多いんです。
箱が二重になっていることもある
丁寧に扱われてきた品物では、内側の共箱に加えて、外側にもう一つ箱が付いていることがあります。二重箱と呼びます。持ち運びや長期の保管に向いた作りで、袋と同じように、どう扱われてきたかが見えます。
外箱だけが物置に残っていて、内箱と作品は家の中。そんな分かれ方をしていることもあります。「箱は2つあったはずだけど」。そう思い当たったら、探すときに頭の隅に置いておいてください。
実際にお預かりしてきた品物
ここまでは、何を見ているかの話でした。ここからは、実際に共箱ごとお預かりした品物です。当店のブログに、買取の記録が残っています。
たとえば、荒尾常三の練上扁壷。色の違う土を練り合わせて模様を出す作りで、器そのものを眺めているだけでも時間が経ってしまう一点でした。このときありがたかったのは、共箱が一緒に残っていたことです。箱の書付と作品を並べて確かめられると、こちらが手探りで進めなければならない部分がぐっと減ります。記録は荒尾常三 練上扁壷(共箱あり)の買取ページに残しました。
同じように共箱がそろっていた品物は、ほかにもあります。
信楽焼 四代 高橋楽斎 珈琲茶碗 2客(共箱あり)。器が複数あるものは、箱に何客入りかが書かれていることもあります。
輪島塗 沈金 茶器(共箱あり)。茶道具は、一式でそろっているかどうかも見ます。
どれも、押し入れや蔵から出てきたときには、箱と品物が別々の場所にあったものです。こうした分かれ方は、現場では本当によく起きます。金沢市内での遺品整理で、骨董や掛け軸の見積もりに伺った記録もあわせて残しています。
骨董品・古美術品の査定について
掛け軸・陶磁器・茶道具などの査定で見るポイントは、骨董品買取の専門サイトで詳しくご案内しています。富山・石川・福井の北陸3県は、ご相談と出張査定に費用をいただきません(ほかの地域はご相談ください)。
付属品が査定に関わる三つの理由
理由は一つではありません。私たちの側から見ると、大きく三つあります。
一つめは、手がかりが増えること。作品だけを見て判断するより、箱書きや鑑定書があるほうが確かめられる範囲は広がります。分からない部分が減れば、そのぶん慎重になりすぎずに済みます。
二つめは、保管の様子が伝わること。桐箱や布の袋に納められてきた品物は、光や湿気にさらされてきた時間が短い。実際、状態の良いものが多いです。
三つめは、次に渡すときのことです。骨董品や茶道具は、私たちのところで終わりではなく、この先も誰かの手に渡っていきます。付属品が揃っていれば、その次の持ち主にも、状態や由来をそのまま引き継いでもらえます。
「祖父がどこから譲り受けたものか、まったく知らなかった」。箱書きを一緒に読みながら、そうおっしゃる方がいます。ご本人も知らなかった来歴が、桐箱の蓋にだけ残っていた。箱は品物を守るだけでなく、その品物にまつわる話も一緒に運んでくれるものなんです。
スタッフのひとこと
長くこの仕事をしていると、「箱は汚いから置いてきました」という言葉を何度も聞きます。もったいない、と毎回思います。汚れているかどうかは、こちらは気にしていません。見たいのは、そこに書かれている文字のほうです。
付属品が見つからないときは
見つからなくても、諦めないでください。よくあることです。
たしかに、手がかりが少ないぶん、確かめられる範囲は狭くなります。それでも、作品そのものの土や釉薬の様子、仕立ての丁寧さ、傷みの出方といったところから見えることはありますし、そこにご家族の記憶が加われば、はっきりした来歴が分かる場合もあります。
逆に、箱だけ、袋だけが残っているという場合もあります。それも持ってきてください。中身と一致するか分からなくても構いません。
付属品が見つかりやすい場所
現場でよく出てくるのは、こんな場所です。品物と同じ場所には、意外と置かれていません。
蔵や物置の棚の上。押し入れの天袋。仏間の地袋。箪笥の一番下の引き出し。そして、別の品物の箱の中。最後のものが特に多くて、掛け軸の箱を開けたら、別の品物の鑑定書が入っていた、ということもあります。
とはいえ、家じゅうをひっくり返してくださいという話ではありません。整理の手を止めてまで探す必要はなく、片づけの流れで目に入った箱や袋を、脇によけておいていただければ十分です。あとは伺ったときに、私たちが一緒に探します。
査定前の準備は、3つだけ
難しいことはありません。むしろ、やりすぎないほうがいいくらいです。
三つめが、いちばんお伝えしたいところです。良かれと思って布を洗ってしまう。箱の汚れを削ってしまう。そのせいで手がかりが消えることがあります。そのままがいちばんです。
まとめ:本体と付属品で、ひとつと考える
箱や鑑定書、書付は、作品の来歴や保管の状態を伝えてくれるものです。揃っているかどうかで、私たちが確かめられる範囲は変わります。
とはいえ、無ければ価値がない、という話ではありません。冒頭の「箱、いりますか?」に、あらためてお答えします。いります。汚れていても、中身と合っているか分からなくても、まずは一緒にお持ちください。判断するのは、私たちの仕事です。
よくある質問
箱や鑑定書がない作品でも査定できますか?
確認できる場合があります。ただ、共箱や鑑定書、書付などは作品の手がかりになりますので、見つかった付属品は捨てずに一緒に保管してください。
箱だけ、袋だけ残っている場合はどうすればよいですか?
それだけでも、作品名や作者、購入経路の手がかりになることがあります。中身と一致するか分からない場合も、別々に処分せず、一緒にご相談ください。
掛け軸を包んでいた袋や古い布は、汚れていても残した方がよいですか?
はい。破れや汚れがあっても、保管の状況が分かることがあります。無理に洗ったり補修したりせず、そのまま作品や箱と一緒に保管してください。呼び名が分からなくても構いません。
箱書きの文字が読めないのですが、大丈夫ですか?
そのままで大丈夫です。崩し字や薄くなった墨は、こちらで確認します。無理に写し取ったり、上からなぞったりしないでください。
査定時の注意:付属品の有無だけで評価が決まるわけではありません。作品の状態・作者・資料・そのときの市場によって見方が変わりますので、この記事だけで真贋や金額を判断せず、現物をもとにご相談ください。
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コメント
コメント一覧 (4件)
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