こんにちは。リサイクルショップバイキングのスタッフです。富山・石川で、骨董品や古道具の買取をしています。
蔵や納屋の片付けで出てきた道具を前に、「これ、いつ頃のものですか」と聞かれることがよくあります。持ち主にも分からない。祖父母の代から置いてあった。分かっているのは、それだけです。
私たちも、その場で年代を言い当てているわけではありません。いくつかの手がかりを重ねて、だいたいの見当をつけていきます。今日は、査定のときにどこを見ているのかを、そのままお伝えします。ご自分で確かめるときの参考になるはずです。
先に結論
見るのは「印・刻印」「素材」「作り」の3つです。ただし、どれか一つで決めないでください。修理されていたり、部品だけ新しかったりします。判断がつかないときは、こすらず、削らず、そのままでご相談ください。
まず探すのは、底や裏に隠れた銘
最初に探すのは、製造元や作者を示す印です。まず、ひっくり返してみてください。底、裏、持ち手の付け根。目立たないところに入っていますので、明るい場所で角度を変えながら見てください。指の腹でなぞると、彫りの浅い銘に気づけることもあります。
明治以降の品物には、作った人の名前や店の名前が入っているものが増えます。ここが年代の手がかりになります。旧字体が使われていたり、いまは使われない地名が刻まれていたり。そこから少しずつ絞り込んでいきます。
一方で、江戸の頃の道具には印が入っていないものも珍しくありません。無いから古くない、とは限らないわけです。印が見つからなくても、そこで止めないでください。手がかりは、まだ残っています。
字体と彫り方にも差が出る
文字が読めたら、次は彫り方です。手で彫った跡が残っているものは、文字の太さや深さが揃いません。機械で押すようになると、字は均一になります。この違いは、慣れてくると写真からでも見当がつきます。
アルファベットが入っている場合は、輸出向けに作られた可能性を考えます。表記の仕方は時代によって意味合いが変わりますので、ここは慎重に見ています。
スタッフのひとこと
いちばん惜しいのが、「印が読めないから」と諦めてしまわれる場面です。読めなくて構いません。薄くなった文字も、崩し字も、こちらで確認します。むしろ、読もうとして磨いてしまわれたときのほうが困ります。
木も金属も、時間は表面に出る
印が見つからないとき、次に頼りにするのが素材です。木と金属とでは、時間の出方が違います。
木の道具なら、材と加工を見ます。まず、木目です。一枚の板から作られたものは、木目がそのままつながっていて、節や年輪の流れが途中で切れずに一本の面として見えます。長く使われたものは、色が飴色に変わっていく。この色は、塗って出せるものではありません。
昭和の半ば以降になると、合板が増えます。軽くて、見た目が均一。手に持った瞬間の重さで見当がつくこともあります。
金属も同じです。鉄なら錆の出方、真鍮ならくすみ方に時間が出ますので、表面の色だけでなく、へこみの内側や持ち手の裏といった手の触れにくい場所がどう変化しているかまで合わせて見ていきます。手で叩いて作られた金具は、形が不揃いです。その不揃いさが、そのまま味になります。ステンレスが使われていれば、比較的新しい品物として見ます。
組み方には、その時代の手が残る
三つめは作りです。ここは、じっくり見ます。後の年代に手を入れた跡が、いちばん出てくるところだからです。
見るのは、継ぎ目です。釘を使わずに木を組んだ仕口が見えれば、手仕事で作られた家具です。機械生産が広まってからは、ねじや同じ形の釘が規則正しく並びます。
「これ、ただの古い箪笥ですよね」。そう思われるかもしれません。ただ、引き出しを一段だけ抜いて、側板の合わせ目を覗いていただきたいのです。そこに指を差し込めるくらいの溝が刻んであって、板と板が互い違いに噛み合っていれば、それは職人が一つずつ手で合わせた仕事の跡です。
査定のときに、私たちが順番に確かめているのは次の4点です。
- 継ぎ目:釘を使わず木を組んであるか、ねじや釘で留めてあるか
- 釘:一本ずつ形や太さが違うか、同じ形が規則正しく並んでいるか
- 角と曲線:面の取り方が機械的に均一か、どこかに手の揺らぎが残るか
- 塗り:刷毛の跡が残っているか、吹き付けたように平らか
角の処理、曲線の滑らかさ、塗りのムラ。手で仕上げたものには、必ずどこかに揺らぎが残ります。
塗りのムラは、欠点ではありません。刷毛の跡が残っているものは、そのまま味として見られることもあります。無理にきれいにしないでください。
実際にお預かりしてきた品物
当店のブログには、実際の買取の記録が残っています。
たとえば、時代箪笥をお預かりしたときの記録があります。こうした古い和家具には作者の印が入っていないことも多く、そのぶん金具と組み方が手がかりになります。引き出しを一段ずつ抜いて、側板の合わせ目、釘の並び、金具の打ち方を順に確かめていく。地味な作業です。ただ、こうして一つずつ照らし合わせていかないと、どこが元のままで、どこに後から手が入ったのかは見えてきません。記録は時代箪笥・古民具の和箪笥をお預かりしたページに残しました。
銘のほうが手がかりになった品物も、もちろんあります。3件だけ挙げます。
本間琢斎 香炉(銅器・在銘)。作者の銘が入っていた一点です。
銘が読めれば、そこから作者を辿れます。ただ、銘が見つかれば終わり、というわけでもありません。同じ作者の名が入っていても、どの時期の仕事か、どんな場所でどう保管されてきたかで見えてくるものは変わりますので、結局は素材と作りのほうへ戻って確かめ直します。
銅製の香炉(三足・在銘)。獅子頭の意匠と銘の両方から見ています。
香炉が続きましたが、金属の道具では、本体だけでなく蓋や底も手がかりになります。
龍文堂 鉄瓶。鉄瓶は、蓋の作りや底の様子もあわせて確認します。
どれも、蔵や押し入れから出てきた品物です。写真だけでは分からない部分が必ず残りますので、最後は現物を拝見してご説明するようにしています。
骨董品・古美術品の査定について
掛け軸・陶磁器・茶道具などの査定で見るポイントは、骨董品買取の専門サイトで詳しくご案内しています。ご相談・出張査定は無料です。
一つの手がかりで決めない
ここがいちばん大事なところです。刻印だけで決める。素材だけで決める。この見方をすると、たいてい外します。
理由は単純です。直されているからです。古い箪笥の金具だけ、後の年代に付け替えられている。鉄瓶の蓋だけ、別のものが合わせてある。長く使われた道具ほど、こういうことが起きます。
だから、全体を見ます。印が示すもの、素材が示すもの、作りが示すもの。この三つが同じ時代のほうを向いているかどうかを、順番に並べて突き合わせていきます。ずれていたら、どこかに手が入っている。その「ずれ」自体も、その品物が歩いてきた時間の記録です。
ご相談前の準備は、3つだけ
ご相談の前にしていただきたいことは、そう多くありません。写真、付属品、それから「触らないこと」。この3つだけです。あとはこちらで確認を進めます。
準備03を、強くお伝えしておきます。良かれと思って磨かれた結果、その品物が使われてきた時間を示す跡まで、一緒に落ちてしまうことがあります。汚れたままで構いません。そのままが、いちばんです。
まとめ:観察の順番を持っておく
印を探す。素材を見る。作りを見る。そして、三つが同じ時代を指しているかを確かめる。覚えることは、それだけです。この順番を持っているだけで、同じ道具でも見え方が変わってきます。
最初から言い当てられなくて大丈夫です。私たちも同じでした。たくさんの品物を手に取って、印と素材と作りを見比べてきたから、だんだんと見当がつくようになっただけです。冒頭の「これ、いつ頃のものですか」に、その場で答えが出ないこともあります。分からないときは、分からないとお伝えして、確認してからご説明しています。
よくある質問
印や刻印が読めなくても相談できますか?
できます。読めない場合でも、形・素材・作り・底面の様子から確認できることがあります。無理にこすったり削ったりせず、明るい場所で全体と刻印部分を撮っておくとご相談しやすくなります。
刻印がまったく無いのですが、古くないということですか?
そうとは限りません。江戸期の道具には印が入っていないものも多くあります。素材や作りのほうから見ていきます。
汚れやサビは落としてから持ち込むべきですか?
そのままお持ちください。落としてしまうと、年代を判断する手がかりまで消えることがあります。
ネットで調べた年代と違う場合はどうなりますか?
現物を拝見してご説明します。同じ形でも、時代や作り手によって違いがありますので、写真だけで断定はいたしません。
リサイクルショップバイキング富山本店
リサイクルショップバイキング根塚店
リサイクルショップバイキング金沢本店






コメント