貴金属を売る前に確認したいこと|刻印・重さ・付属品と、相談先の選び方

封筒の口を開けると、切れたネックレス、片方だけのピアス、名前の分からない小さな金具が混ざって出てきます。金やプラチナを売る前に、手元でやっていただきたいのは3つだけです。刻印を探す。どれくらいの量があるかまとめる。箱や保証書などの付属品を揃える。仕分けも判定も、こちらの仕事です。

リサイクルショップバイキングのスタッフです。その前は質屋に勤めていました。金の相場が高い時期には、「持っているだけだし、そろそろ手放そうかと思って」と、封筒や小箱を抱えてお越しになる方がいらっしゃいます。そのあとに、「でも、どこに持っていけばいいのか分からなくて」と続く方がいらっしゃいます。

先に結論
相談先は、古物営業許可を掲げているか、住所と店舗があるか、その場で決めさせようとしないかで見てください。金額は、素材と重さと純度、そしてその日の相場で決まります。読めない刻印を無理に判読する必要はありません。

目次

手元でできるのは、この3つだけ

査定に出す前に、あれこれ準備していただく必要はありません。

  • 刻印を探す:「K18」「K24」「Pt900」などの小さな文字。読めなくても構いません
  • 量をまとめる:袋や缶に入ったまま、1点ずつ分けずにお持ちください
  • 付属品を揃える:箱、保証書、鑑定書、購入時の紙。本体と離さずに

逆に、やらないでいただきたいのは「これは金じゃないだろう」と自分で選り分けることです。黒ずんだ地味な一本が18金だったり、金色に光っていてもメッキだったりします。見た目では決めません。

刻印が入っている場所

指輪なら内側。ネックレスなら留め具のあたり。ブレスレットは金具の裏。小さな文字で打たれていますので、明るいところで角度を変えながら探してみてください。探して見つからなければ、それ以上は追わずに、そのままお持ちいただければ大丈夫です。

K24は純金、K18は金が75%を占めるという意味です。「K18WG」の「WG」はホワイトゴールドを指します。プラチナなら「Pt900」「Pt950」あたりをよく見かけます。

ただし、刻印はあくまで手がかりです。あっても、実物を確認するまで断定はしません。擦れて読めなくなっていても、拝見すれば確かめられることがあります。

重さは、こちらで量り直す

金やプラチナには、装身具として使えるかどうかとは別に、素材そのもので見る世界があります。そこで効いてくるのが重さです。素材の種類、純度、重量、そしてその日の相場。この4つが噛み合って金額になります。

ですから、ご自宅で細かいグラム数を出していただく必要はありません。台所の秤で「全部で何グラムくらい」が分かる程度で十分です。店頭では、精度の出る秤であらためて量り直します。

ひとつだけ気をつけていただきたいのが、重さの内訳です。石が付いた指輪や、金具だけが金のアクセサリーは、全体の重さがそのまま素材の量にはなりません。台座や石を外そうとせず、そのままお持ちください。外れてしまった石も、一緒に袋へ入れておいていただけると助かります。

付属品は、素材の話とは別に効く

3つ目にお願いした付属品は、重さや純度とは別のところで効いてきます。

保証書や購入時の紙には、いつどこで手に入れたものかが残っています。鑑定書があれば、石の等級までさかのぼれます。ブランドの箱や袋がそろっていれば、素材としてではなく品物として見る道も出てきます。

とはいえ、紙が無いから拝見できない、ということはありません。無ければ無いまま、実物から確かめます。捨てる前に一度、引き出しの中を見ていただければ十分です。

アクセサリー以外にも、貴金属は紛れている

先ほどの「刻印を探す」は、指輪やネックレスだけの話ではありません。

以前、仏具の「おりん」をお預かりしたことがあります。仏壇の前に置かれた、あの鉢型の鳴り物です。18金製で、重量は約402グラム。造幣局の刻印が入っており、上川宗照という銀師の作でした。仏壇まわりの片付けで、そのまま処分に回されていてもおかしくない一点です。刻印の位置と量った重さは、買取事例のページに数字ごと載せました。

ほかにも、こんな記録があります。

ですから、探していただきたいのは宝石箱の中だけではありません。

  • 仏壇まわり(おりん・仏具・供養具)
  • 床の間や飾り棚の置物・盃
  • 来客用の食器棚(金杯・銀杯・記念の器)
  • 机の引き出し(万年筆・タイピン・表彰の記念品)

宝飾品を探そうとは思わない場所ほど、片付けのときに一度開けてみてください。表彰の記念品や記念の盃は、贈られたときの箱に入ったまま、開けられずに置かれていることがあります。箱の中身が何だったか、ご家族も覚えていない。そういう品物が、机の奥から出てきます。

スタッフのひとこと
質屋にいた頃から、この仕事のいちばん静かな瞬間は、品物を秤に載せるときです。持ち主の思い出も、買ったときの値段も、そこでは数字になりません。だからこそ、何をどう見て金額にしたのかは、その場で全部お話しするようにしています。

相談先を選ぶときに見るところ

貴金属は、相場が公開されている一方で、査定額の出し方は店によって違います。だからこそ、どこに相談するかで結果が変わります。見ていただきたいのは、次の3点です。

確認 01古物営業許可の番号を掲げているか。公安委員会から交付される許可です
確認 02住所と実際の店舗があるか。後から相談に行ける場所かどうか
確認 03査定料や出張料の扱いを、査定の前に説明するか

ちなみに当店の古物商許可番号は、富山県公安委員会 第501150000316号です。同じ基準で見ていただいて構いません。

そしてもうひとつ。「今日決めてもらえるなら」と急かされたら、その場で返事をしないでください。日をあらためても同じ金額を出せますか、と聞いてみるのが早いです。

なお、ご自宅での査定の場で、品物をその場でお渡しになる必要はありません。金額にご納得いただけないうちは、お手元に置いたままで結構です。日をあらためてご連絡いただいても、こちらは困りません。

訪問買取の手口は、別の記事にチェックリストとしてまとめました。ご高齢のご家族が一人で対応される可能性がある場合は、そちらも合わせてご覧ください。

相見積もりを取っていただいても構いません。当店でも、他店の金額を聞いたうえでお越しになる方はいらっしゃいます。納得してから決めていただくほうが、こちらとしても気が楽です。

よくいただく質問

当日は何が要りますか

古物営業法により、買取の際は本人確認が必要です。運転免許証やマイナンバーカードをお持ちください。ご本人以外が代理でお越しになる場合は、どなたの品物をどういう経緯でお持ちいただくのかを事前にお電話で伺えると、当日の手続きが早く済みます。お支払い方法にご希望があれば、最初にお伝えください。

相見積もりを取ってから決めても構いませんか

構いません。「よそでいくらと言われたんですが」と切り出していただいて結構です。こちらの見方をご説明したうえで、比べて決めていただくほうが、あとで迷いが残りません。

刻印が見当たらないものがあります

刻印は擦れて消えることがあります。比重を量る方法や試薬で確かめる方法があるので、見つからないままお持ちください。何をどう確認したかは、その場でご説明します。

チェーンが切れていたり、留め具が壊れていたりします

直さずにお持ちください。壊れたものだけ先に処分してしまうと、あとから確認のしようがありません。

形見なので、手放すか決めきれていません

査定だけでも構いません。「売るかどうかは別として、いまの価値を知っておきたい」というご相談も承っています。先ほどのおりんのように、重さと素材が分かるだけで話が変わることもあります。金額をお聞きになってから、ご家族とゆっくり相談してください。

金の相場が上がるまで待ったほうがいいですか

相場の先行きは、こちらにも分かりません。「もう少し上がってからと思っているうちに、どこにしまったか分からなくなって」。そうおっしゃる方もいらっしゃいます。相場を読むより、ご自身の必要と納得で決めていただくのがよいと思います。

どこに持っていくか、迷ったままで大丈夫

「どこに持っていけばいいのか分からなくて」。この迷いを、無理に解いてからお越しになる必要はありません。刻印が読めなくても、袋の中身が混ざっていても、そのままで結構です。

片付けのついでに出てきて、そのまま台所の棚に置かれたままの小箱。そういう品物を拝見します。

缶ごと、袋ごとで構いません。中身を並べ替えず、そのまま持ってきていただくのがいちばん早いです。

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この記事を書いた人

富山・石川を中心に、古物買取や遺品整理、空き家整理などの仕事に20年以上携わっています。

質屋での勤務経験もあり、これまで貴金属・時計・骨董品・昭和レトロ品など、さまざまな品物を見てきました。

「これって売れるの?」
「古いけど価値はある?」
「捨てても大丈夫かな?」

そんな身近な疑問に、古物・骨董品バイヤーとしての経験をもとに、できるだけ分かりやすくお伝えしていきます。

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