実家の片付けでタンスの引き出しを開けると、布の袋に包まれたバッグが出てくることがあります。袋の口をほどくと、金具はくもり、革は角のところが白くなっている——。何十年もそのままだったのだと、ひと目で分かります。
「金具もくもっていますし、さすがにもう手放すしかないですよね」。引き出しの前で、そうおっしゃる方がいます。バイキングのスタッフとしてお願いしたいのは一つだけです。その布の袋と、一緒に入っていた紙類を、バッグから離さないでください。
先に結論
年数の経ったバッグや財布は、傷み具合だけで見てしまうと、確認できる材料を見逃します。保存袋・箱・カード類・型番の刻印が残っているかどうかで、こちらが分かることが変わります。磨いたり直したりせず、そのままの状態でご相談ください。
まず、袋と紙類を本体から離さない
片付けの現場で私たちがよく見るのは、バッグは衣類の袋へ、箱はつぶして紙ごみへ、小さなカードは書類の山へ——という分かれ方です。片付けとしては正しいのですが、そろっていたものが三か所に散ってしまいます。
紙類には、購入したときの控えや、ブランドが発行した小さなカードが混ざっていることがあります。バッグと一緒にしまわれていたものは、まとめてひと袋にしておいていただけると助かります。
散らばってしまったあとで集め直すのは、思っているより手間がかかります。開けた引き出しの中で、その場でまとめてしまうのが早道です。
見ているのはこの4か所
大事なのは、きれいかどうかよりも、どこの何かが分かるかどうかです。順番に確かめているのは、次の4か所になります。
| 見る場所 | 確認したい内容 | 写真の撮り方 |
|---|---|---|
| 本体の形 | 型崩れ、持ち手の傷み、底の角のすれ | 正面・底面・持ち手の3枚 |
| 金具と内側 | ファスナーが動くか、金具のくもり、内側のべたつき | ファスナーを開けた状態で |
| 刻印・型番 | 内側のタグ、金具の刻印、製造国の表示 | 文字が読める距離まで寄る |
| 付属品 | 保存袋、箱、カード類、ストラップ、鍵 | まとめて並べて1枚 |
内側のタグは、ポケットの中や側面の縫い目に隠れていることがあります。見つからないときは、無理に引っぱらず、探した範囲だけお伝えください。
合成皮革を使ったものは、年数が経つと内側がべたついてくることがあります。これは劣化の一種で、拭いても戻りません。無理にこすらず、その状態のまま拝見します。
お手入れは、しないでお持ちください
見た目を整えてからお持ちになりたい、と思われるかもしれません。ただ、革と金具に限っては、手を加えたあとのほうが状態が読み取りにくくなります。
- 市販のクリームやみがき剤を、確かめずに塗らない
- 金具をみがき粉でこすらない
- べたつきを落とそうとして、内側を強く拭かない
- 持ち手のほつれを自分で縫い直さない、接着しない
- 保存袋・箱・カード類を先に捨てない
- 湿ったまま袋に戻さない(かびの原因になります)
手を加えた跡は、査定のときにかえって目立ちます。傷んだままお持ちいただくほうが、状態を正しくお伝えできるということです。
そして、傷んだ状態のままお預かりした品物は、実際に数多くあります。
傷んでいても、まず見せていただきたい理由
当店で実際にお買取りしたバッグや財布の記録が、ブログに残っています。ブランド品買取のカテゴリだけで400件。共通しているのは、新しいものばかりではないという点です。
たとえばオールドグッチのシェリーラインの2wayハンドバッグ。呼び名のとおり、ずいぶん前のものです。ロベルタ ディ カメリーノのベロアのハンドバッグも、記録の品名に「ヴィンテージ」と入っています。
革以外の素材や、財布のような小物もご相談を承っています。オーストリッチのハンドバッグやがま口の二つ折り財布の記録もありますので、バッグ以外が混ざっていても構いません。
年数が経っているから、という理由だけで手放す品物を決めないでいただきたい。そう申し上げているのは、こういう記録が積み上がっているからです。
スタッフのひとこと
金具のくもりや角のすれを先に教えてくださる方ほど、話が早く進みます。バッグは外側より、内側の状態が判断を分けることがあります。写真を送っていただくときは、ファスナーを開けた中の1枚も忘れずに入れてください。
本物かどうかは、記事で決めない
傷んだままでも見せてください、とお伝えすると、次にいただくのが本物かどうかというご質問です。ここは、はっきりお伝えしておきます。当店では、記事の説明だけで真贋を判断していただくような書き方はしません。
縫い目の数や刻印の形といった見分け方が世の中では出回っていますが、年代によって仕様が変わるものもあり、写真一枚で決まる話ではないからです。実物を拝見し、複数の箇所を突き合わせて確認しています。
ですから、お手元で結論を出そうとなさらなくて構いません。分からないまま、そのままお持ちください。
写真だけで先に相談できる
持ち出すのが大変なとき、いくつあるか分からないときは、写真だけを先に送っていただく方法もあります。当店では LINE でお写真を送っていただいての査定を承っています。
引き出しを開けた状態のまま、上から1枚。それだけでも、どのくらいの点数があるかは伝わります。撮り直しの必要があれば、こちらからお伝えします。
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よくある質問
保存袋も箱もカードもありません。相談できますか。
もちろんご相談いただけます。そろっているに越したことはありませんが、無ければ査定できないわけではありません。本体の刻印や内側のタグから確かめられることがあります。
金具がくもって、内側もべたついています。
そのままでお持ちください。年数が経ったものには、多かれ少なかれこうした変化が出ます。落としてからお持ちいただくと、かえって元の状態が読み取れなくなります。
点数が多くて、運ぶのが大変です。「引き出し二段ぶん出てきました」というご相談もいただきます。
お伺いしての査定をご相談いただけます。実家整理では、バッグのほかに指輪やネックレス、食器、古道具が一緒に出てくることも多く、まとめてご覧になるほうが整理しやすくなります。
訪問での査定で気をつけることはありますか。
お宅へ伺っての買取には、特定商取引法の訪問購入という決まりがあります。事業者が名前と勧誘の目的、扱う物品の種類を先にお伝えすること、契約のときに書面をお渡しすること。消費者庁はこの点を案内しています。
ここから先は決まりではなく、私たちの考えです。話を急がされていると感じたら、その場で決めなくて構いません。
「一人で決めるのが心細くて」というお声もいただきます。そういうときは、ご家族が在宅の日に合わせていただいて構いません。決まりではありませんが、そのほうが落ち着いてお話しできると思います。
まとめ
傷んでいるからと諦める前に、金具と刻印だけでも見せてください。手放すかどうかを決めるのは、そのあとで十分間に合います。
引き出しを開けたその場で、バッグと袋と紙類をひとまとめにする。やっていただきたいのは、それだけです。






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