片付けが進まないのは、時間が足りないからではなく、決めることが多いからです。決める回数を減らせば、十五分でも前に進みます。
お引越しや家の整理でお伺いすると、こう言われることがあります。「休みの日にやろうと思ってるんですけど、結局そのままで」。台所の隅に、開けていない段ボールが積まれたままになっています。そういうお宅は珍しくありません。
先に結論
時間がないときほど、その場で決めようとしないことです。判断が要るものを一か所にまとめて外に出すと、残りは手が動きます。まとめて見る日を別に取ったほうが、結果として早く終わります。
この記事で確認できること
- 片付けが止まる本当の原因
- 十五分で終わる範囲の区切り方
- 判断が要るものを先に外に出す方法
- 迷わず手が動くのは、どういうものか
- 迷った袋を写真で残しておく方法
- まとめて見る日の作り方
止まるのは、時間ではなく判断の回数
片付けを一時間やったとして、手を動かしている時間はそのうちどれくらいでしょうか。
実際には、物を持ち上げて、眺めて、考えて、また置く。この繰り返しに時間が消えていきます。動作そのものは数秒で終わります。
判断は頭を使う作業です。仕事が終わった後に取りかかると、余計に決まりません。時間がないというより、決める体力が残っていない、というほうが近いと思います。
私たちが片付けの途中のお宅にお伺いすると、床に小さな山がいくつもできていることがあります。「これ、途中まではやったんですけど」と言われる。よく見ると、どの山にも判断が要るものが残っています。決められなかったものが、置き場所を変えながら残っている状態です。
だから、片付けを速くする方法は「早く決める」ではありません。「決めなくていいものを増やす」です。
十五分で終わる範囲まで区切る
まず、今日やる場所を狭くします。引き出し一段、棚一段、玄関の靴箱の上、洗面台の鏡の裏、冷蔵庫のドアポケット。このくらいの単位です。
「部屋一つ」は範囲として広すぎます。扉を開けた瞬間に全体量が目に入って、それだけで気持ちが折れます。
狭い範囲なら、終わりが見えます。終わった場所が一つあると、次の日に続きます。
冷蔵庫から始める方法もよく紹介されています。中身に期限が書いてあるので、判断が要らないからです。同じ理由で、洗面台の鏡の裏も向いています。
判断が要るものを、先に外に出す
範囲を狭くしても、使うか使わないかの判断が要るものが混ざっていると、結局そこで手が止まります。時間がない人がつまずくのは、まさにここです。
片付けの記事の多くは「使う・使わない」で分ける、あるいは使用頻度で分ける、と書いています。これは正しいのですが、時間がない人にとっては、この分類の途中で手が止まります。「使わないけれど、捨てていいかは分からない」ものが出てくるからです。
そこで、分類を一つ増やします。「使う」「使わない」の前に、「これは今決めない」を作ります。
入れる目安になるのは、次のようなものです。
古いもの
いつ買ったか思い出せないもの、自分より前から家にあるもの。特に贈答品の箱に入ったままのものは、中を見ずに判断できません。
食器棚の奥から出てくる桐箱がその代表です。開けたことがないまま長くしまわれている、というお話も伺います。開けて確かめる時間が今ないなら、それは袋に入れる側です。
箱や説明書が残っているもの
本体だけでなく、当時の箱や付属品がそろっているもの。古いものは、そろっている状態かどうかで見方が変わることがあります。
古い機械類もここに入ります。動かなくなったものでも、お預かりした実例があります。「壊れているから」で手が止まったら、それも判断が要るものの側です。考え込まずに袋へ入れて、先へ進んでください。
贈答品
いただきもので使っていないもの。桐箱や化粧箱に入ったままのものは、そのまま袋へ入れてください。
引き出物の食器、お中元のタオル、記念品の置物。どれも「使わないけれど捨てにくい」ものです。捨てにくさで手が止まるくらいなら、判断ごと後ろへずらしたほうが片付けは進みます。
迷わず手が動くのは、役目が終わったもの
判断が要るものを外に出したら、残りは早く進みます。
- 賞味期限・消費期限が切れた食品、使い切った調味料
- 空になった容器、詰め替えの外袋、空き箱
- レシート、期限切れのクーポン、届いた広告
- インクの出ないペン、切れた電池
- 手放した製品の取扱説明書、保証書
このあたりは考えなくても手が動きます。十五分の作業なら、ここだけで一区切りついても構いません。
一つだけ気をつけていただきたいのは、この作業を急ぎすぎないことです。「どうせ全部いらないもの」と思って手を動かしているうちに、判断が要るものまで同じ袋に入っていることがあります。
私たちがお伺いして困るのが、この状態です。すでにまとめられた後だと、外からは中身が見えません。袋を分けておいていただけると、こちらも見やすくなります。
スタッフのひとこと
家具のご相談でお伺いしたとき、「これは買い取ってもらえないと思って」と処分する側にまとめられていた中に、そうではない品物が混じっていたことがあります。急いで分けたときほど、こういうことが起きます。手が止まったものは、処分の袋ではなく別の袋へ入れてください。
迷った袋は、外に出す前に一枚だけ撮っておく
袋に入れたものは、写真に撮っておくと後が楽です。
全体を一枚、気になるものは個別に一枚。箱の側面や底の文字、説明書の表紙も撮っておきます。文字が読める写真があると、後から確認しやすくなります。
写真があれば、品物を運ばなくてもご相談いただけます。片付けの手を止めずに済みます。
まとめて見る日を、別に取る
外に出した袋は、いつ見るかを決めておきます。
決めないと、袋のまま押し入れに戻ります。次の片付けのときにまた同じものを手に取ることになって、そこで止まります。冒頭に書いた「同じような中身の山がいくつもある」状態は、こうしてできます。
やり方は簡単です。次の休みの日、と決めて、袋の外側にその日付を書いておきます。その日は片付けをせず、袋の中身を見るだけにします。
まとめて見ると、一つずつ見るより早く決まります。同じ種類のものが並ぶので、比べられるからです。食器なら食器、機械なら機械で並べると、残すものがはっきりします。
それでも判断が付かないものは残ります。その分は写真を撮ってご相談ください。無理に決めなくて構いません。
まとめ
時間がないときの片付けは、決める回数を減らすことから始めます。
今日やること
引き出し一段に範囲を絞る。袋を一つ置いて、迷ったものは考えずに入れる。役目が終わったものだけ処分する。袋に日付を書いて、範囲の外に出す。ここまでで十五分です。
開けていない段ボールが片付かないのは、中身に判断が要るものが入っているからです。
先に袋を用意して、迷ったものをそこへ移してしまえば、段ボールは空になります。決めるのは、また別の日で構いません。






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