骨董品と美術品は、言葉としては違うものを指します。ただ、査定でお預かりするときに見ているところは、どちらもほとんど同じです。
蔵や押し入れの整理でお伺いしたお宅では、新聞紙に包まれたまま棚に並んでいる品物が出てきます。「これ、骨董品なんですかね。それとも美術品ですか」と聞かれることがあります。
先に結論
骨董品は古さと希少性から、美術品は作品としての表現から見られる、という使い分けが一般的です。ただし査定では、どちらの呼び方であっても作者・時代・保存状態・共箱・鑑定書・落款を見ます。呼び方を決めてから持ち込む必要はありません。
この記事で確認できること
- 骨董品と美術品、言葉の使い分け
- 「製造から100年」の目安をどう受け取るか
- 査定で実際に見ているところ
- 箱や書付で変わること
- まとめて見せていただいたほうが早い理由
言葉の使い分けは、見ている軸の違い
明治期の作家が作った花瓶を思い浮かべてください。時代から見れば骨董品で、作品として見れば美術品です。どちらで呼んでも間違いではありません。
二つは対立する言葉ではなく、同じ品物が両方に当てはまります。違うのは、どこを見て価値を語っているかです。
「製造から100年」は、目安であって線引きではない
骨董品の説明でよく出てくるのが「製造から100年以上経ったもの」という区切りです。もとは関税の分類で使われてきた考え方で、日本の店頭でそのまま使われているわけではありません。
私たちがお預かりする品物にも、戦前のものから昭和のものまで幅があります。年代だけで扱いが変わることはありません。
スタッフのひとこと
「うちのは古いだけで、美術品というほどのものじゃないので」とおっしゃって、査定に出さずに処分の側へ回されることがあります。呼び方で決めていただかなくて大丈夫です。見るところは同じなので、まとめて出していただければこちらで分けます。
査定で見ているのは、呼び方ではなく品物そのもの
骨董品買取のご相談でも、美術品としてのご相談でも、確かめる点は変わりません。当店では次のところを見ています。
- 作者。銘や落款、印章が入っているか
- 時代。いつごろ作られたものか
- 保存状態。欠け、ひび、直した跡があるか
- 共箱。その品物のために作られた箱が残っているか
- 鑑定書や書付が添えられているか
- 傷みの程度。しまわれていた場所の影響が出ていないか
同じ作りの品物でも、作者と時代、保存状態で評価は変わります。逆に言えば、この六つが分かる状態で見せていただければ、呼び方が決まっていなくても話は進みます。
茶道具では、南部鉄瓶や萩焼のお道具が持ち込まれたこともあります。骨董品として持ち込まれることもあれば、使わなくなった道具としてご相談いただくこともあります。どちらでも、確かめるところは変わりません。
箱と書付が残っていると、確かめられることが増える
六つのうち、お客様の手元で失われやすいのが共箱と書付です。押し入れを片付けるときに、品物は残したまま箱だけ先に処分されていることがあります。
箱の蓋の裏に作者の署名が書かれていたり、書付に作品の名前が記されていたりします。これがあると、作者と時代を確かめる手がかりになります。
付属品の扱いはこちらの記事で詳しくまとめています。
一点ずつ選ばず、まとめて見せていただいたほうが早い
査定にお伺いしたときに、「価値がありそうなものだけ選んでおきました」とご用意いただくことがあります。ありがたいのですが、選ぶ段階で外れてしまうものがあります。
古い道具は、単体では判断しにくくても、揃いで残っていると見え方が変わります。二点を組でお預かりしたときも、揃っていることで確かめられることが増えました。
まとめて出すことの利点はこちらの記事にまとめました。
まとめ
骨董品か美術品かを決めてから相談する必要はありません。
- 骨董品は古さと希少性、美術品は作品としての表現を軸にした呼び方
- 「製造から100年」は目安で、線引きではない
- 査定で見るのは作者・時代・保存状態・共箱・鑑定書・傷み
- 箱と書付は品物と一緒に残しておく
- 一点ずつ選ばず、揃いのまま見せていただくほうが確かめられる
新聞紙に包まれたままの品物は、包んだままで構いません。開けて並べ直していただかなくても、その場で確かめられます。
迷うものがあれば、まずは写真から見せてください。






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