こんにちは。リサイクルショップバイキングのスタッフです。富山・石川で、骨董品や美術品の買取、蔵や実家の整理のお手伝いを続けてきました。
蔵の整理でお伺いすると、扉を開けた瞬間に分かることがあります。空気が重く、土の匂いが立つ。「もう何年も開けていないので」。そうおっしゃりながら鍵を回される方もいらっしゃいます。
先に結論
湿気の対策は、機械を入れることよりも「風を通す日を決めること」です。年に一度、湿度の低い晴れた日に扉を開けて、箱の外側と底を見る。それだけで、進んでいる変化に気づけます。
湿気が入ると、何が起きるか
起きることは素材によって違いますが、共通しているのは「戻せない」という点です。
木は膨らんで、乾くときに縮みます。この繰り返しで、板が反り、接ぎ目が開きます。金属は錆びます。紙や布はシミが出て、カビが根を張ります。
そして、あとから困るのが匂いです。カビの匂いは布や紙に残り、抜くのが難しくなります。
家の中で、湿気がたまる場所
お伺いして最初に見るのは、部屋の真ん中ではなく端のほうです。
- 押し入れやクローゼットの、いちばん奥と床に近い段
- 外壁に面した納戸・階段下の物入れ
- 床に直置きした段ボールの底
- 閉め切ったままの蔵、開かずの部屋
- 台所や洗面所と壁一枚で接している棚
段ボールは湿気を吸います。中の品物より先に、箱の底が波打ってくるので、そこがサインになります。箱を持ち上げたときに底が柔らかい、畳の跡が付いている。そうなっていたら、その置き場所は変えたほうがよいところです。壁から少し離す、床にすのこを1枚挟む。これだけで変わります。
北陸のお寺で、廃業と解体にともなう出張買取に伺った記録もあります(お寺の解体にともなう出張買取の記録)。お寺には長い歴史があり、古いものが残っている場合があると、この記録にも書いています。長く閉め切っていた建物ほど、運び出す前に風を通す時間を取っていただきたいところです。
素材ごとに出るサイン
査定でお品を拝見するときは、金属・木・紙と布の順に、次のようなところを見ています。
金属は、まず色です。鉄瓶や燭台は、表面が赤茶けてざらつき始めます。南部鉄瓶をお預かりした記録もあります(南部鉄瓶・茶道具の買取記録)。錆は、こすらずにそのままお持ちください。
木は、引き出しの動きに出ます。硬くて開かない、逆に緩い。どちらも湿度で寸法が変わったサインです。
紙と布は、シミと匂いです。着物や古布は、たとう紙の内側に茶色い点が出てきます。藍染の古布をお預かりした記録もあります(古布・藍染・古裂の買取記録)。版画や書画は、額装のものなら裏側に水の跡が残ることがあります。額の裏板と壁のあいだも見てください。
スタッフのひとこと
「湿気は下から来る」と言われますが、現場で見ていると、上から来ることもあります。天井の雨染み、屋根裏の断熱。蔵の二階に上がって、初めて分かることがあります。
季節ごとの見回り方
一年のうち、気をつける時期は3つです。
梅雨の前。品物を動かすのではなく、風を通す日を決めてください。扉と窓を開けて、半日置く。雨の日にやると逆効果になるので、晴れて湿度の低い日を選びます。
真夏。閉め切った蔵や納戸は、温度も湿度も上がります。この時期に長時間の作業をすると、人のほうが参ります。整理をするなら、朝のうちに区切って進めてください。
冬。北陸では結露が出ます。先に挙げた外壁側の棚や納戸は、この時期がいちばん濡れます。朝いちばんに壁際を触ってみてください。
やらないほうがよいこと
良かれと思ってされたことが、かえって傷みを進めてしまう場合があります。
濡れた布で拭く。洗剤で洗う。錆をこすり落とす。いずれもおすすめできません。表面の古い層まで取れてしまうと、元には戻りません。
除湿剤は、入れたままにせず季節ごとに取り替えてください。密閉容器も、湿気が入ったまま閉じるとその湿気が中に残り続けます。
骨董品・古美術品の査定について
掛け軸・陶磁器・茶道具などの査定で見るポイントは、骨董品買取の専門サイトで詳しくご案内しています。富山・石川・福井の北陸3県は、ご相談と出張査定に費用をいただきません(ほかの地域はご相談ください)。
出てしまったあとにできること
すでにカビや錆が出ているお品でも、ご自宅でできることは3つあります。風通しのよい日陰で乾かす。乾いてから状態を写真に撮る。そのうえでご相談いただく。
私たちが拝見して、手を入れないほうがよいのか、専門の修復に回したほうがよいのかをお話しできます。手を入れてしまったあとでは、選べる道が減ります。
日々の置き場所や扱い方は骨董品の保管方法の記事にまとめてありますので、あわせてご覧ください。
まとめ
湿気の対策は、道具をそろえることではありません。開ける日を決めて、風を通し、箱の底と壁際を見る。この繰り返しです。
年に一度でも扉が開く蔵と、十年閉じたままの蔵とでは、中の品物の状態がまるで違います。私たちが現場で感じているのは、この差です。
気になるお品が出てきたら、乾かしたそのままの状態で構いませんので、写真を撮ってご相談ください。
ご注意:傷みの進み方は、素材や置かれていた環境によって違います。この記事は現場で見ている一般的な傾向をまとめたもので、修復の要不要はお品ごとの判断になります。
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コメント
コメント一覧 (2件)
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